「――ではまず、今回の概要について。
お姉様、よろしくお願いいたします」
「は〜い! まっかせっなさーい!」
「この裏サイトの方では、
絵だけでなく、小説等も発表しております」
「……えっちなのばっかだよね」
「まあ、裏ですし」
「で、その中の一つに(そもそも小説と言えるのはそれだけだけど)、
EoTを舞台とした、主人公とセルキー♀の短編がありました」
「わざわざ名前入力までついていましたね〜」
「表現が狭まるくせに、メリットは少なかったがな。
結局、あの一回しかやってないし」
「という、代物があったのですが。
なんと、それに対して、
続きはないのかというありがたいお言葉をいただきました」
「で、続きを考えていたところ――」
「迷走し出した、と」
「なのよねー」
「当初は単純に、セルキー♀にシェルロッタを加えた、
お気楽な3Pものでも書くつもりだったんですけどね」
「話を考えてくうちに、どんどん別のところに比重がいっちゃって、
裏用の小説じゃなくなちゃったのよねー」
「……いつのまにか、完全に私たちの話になっているしな。
そもそも、これ、誰が主役なんだ?」
「それで、
最初の話との間にもうひとつ、話を挟んだんだよね」
「はい。裏なのに、まったくその要素がないのを(笑)」
「最初のが、主人公が村の外に出始めた頃、
間に挟んだのが、おじいちゃんが本格的に動き出した頃、
で、今回のが、最終決戦の直前の話になります」
「二番目と三番目の間、
けっこう開いちゃったよねー」
「忙しさや、難しさにかまけて、
半年くらい進展がありませんでしたからねぇ」
「……待たせすぎだろ。
コメントを送った者も、すっかり忘れてるんじゃないのか?」
「肝心の内容が、ご期待通りかも解りませんしねぇ?」
「はい! コウスイ!」
「ほ、本当に、申し訳ございません」
「おい、こら、イリーナ!」
「と、まぁ、
そんな感じで出来上がったのが、今回の小説になります」
「では、そろそろ内容についてお話ししましょうか
皆さん何か――」
「はい!」
「はい、シャク・シィ」
「前のに比べると、すごい話が長いと思う」
「あー……確かに。二ページ分もあるしな」
「……」
「そうなのよねー、最初見たとき私も、
長げぇよっ! って、思わず突っこんじゃったし」
「考えなしに書くから、こういう事になるんだ」
「まあ、一つ目は表な内容で、
二つ目は裏な内容、と分けられたようにも見えますけどね」
「でもやっぱり、こっち向けの小説のはずなのに、
普通の部分の方が多いよね?」
「単純に、書き手の技量や、思考の問題かと思いますが」
「じゃあ、そもそも、書くなよ」
「まあまあ、一作目に比べれば、そっちの方も増えてるし。
コウスイだって、連続で三回もがんばってるじゃない」
「ごふぅっ!」
「……すごかったよね」
「……張り切りすぎだ」
「流石はクラヴァットと呼ぶべきか、
持久力に関してはかなりのものですわね」
「足腰も強いしねー。
こっちがすぐにばてちゃうよ」
「まったく……どこで覚えたんだか」
(……僕が悪いの?)
(こーゆー時は、黙って笑っておきなさい。
基本は単なる照れ隠しなんだから)
(その方が長生きできますよ)
(だから! 直接頭の中に話しかけないでよ!
――って、イリーナもできるの!?)
(九十九年経っただけで、傘に手足が生えるんだから。
その二十倍以上も経てば、
可愛い乙女も大抵の事はできるようになるわよ)
(ええぇぇ〜〜〜〜!?)
「ただ、無理やり3Pに持ち込んだために、
そっちの内容は充実したと言えるかもしれません」
「でもやっぱり、それ以外の部分の方が多いよね。
この話だって、基本はシェルロッタの視点だし」
「どうやって母親に息子へ手を出させるか、
っていう、話でもあるしね」
「なっ!? お、おい!」
「シェルロッタがとっとと、
ジェラシー全開になって修羅場ってくれれば、
こんなしち面倒くさい内容にもならなかったでしょうしね」
「そんなのできるかーっ!」
「だよねー、シェルロッタは。
やっぱり、
コウスイの方から押し倒すぐらいはやるべきだったんじゃないの?」
「なっ!?」
「げふっ!」
(あ、輸血用のパックはたっぷりあるから。
安心しなさい)
(……もっと別のことに、気を使って欲しいです)
「だ、だがちょっと待て!
確かに私についての描写は多かったが。
話の核になるのはシャク・シィの方じゃないのか?」
「え? そ、そうかなぁ?」
「確かに、
シャク・シィが今後のシェルロッタとコウスイを憂いた結果、
こうした話になったわけですし」
「シャク・シィの内面についての描写も、いくつかあったしね」
「えっと、その、わたしでも、やっぱ色々考えてるわけで……」
「……無理な話だとは思うけど、
それでも、みんなが幸せになって欲しい。
そうじゃなきゃ――」
「――自分も、幸せにはなれないから、か」
「……うん」
「……」
「全体で見れば、シャク・シィの考え方が前面に出てるのかしらね」
「だろうな。
そのせいか、普段より大人びて見えたしな」
「みんなといる時のシャク・シィとは、
えらい違いよねー」
「う〜ん、私そんなに子どもっぽいかなぁ?」
(……抱きつき癖とか、そういう点があるからなぁ)
「まあ、やはり、この小説を書いていると、
色々考えが廻ったようですぇ」
「誰よりもその人を愛しいて、支えてきた、けど未来のない女性と、
その人を愛しているけども、支えきることができない、
けどまだこの先のある女性。
EoTの作品の中で、そんな二人がどう考え、何を思うのかって、
本人は真面目に考えたつもりみたいよ」
「それぞれ立場が複雑ですからねぇ。
二人の女性だけでなく、
この話では、主人公である少年が何を思っているのかも触れてますね」
「もっときっぱり、さっぱりしててもいいと思うんだけどねー
ウチの子は、ほら、あの母親に似てナイーブなのよ」
「あー、わかるわかる。
すぐ思いつめるよねー」
「……わるかったな」
「……」
「そんな感じで三者三様、
それぞれの思いが交差する作品となりました」
「そのせいで、こっちにもよくわからない話になってしまったがな」
「あははは、そうだねー」
「あ、そう言えばさー、
これ読んでて、二人に聞きたいと思ったことがあるんだけど」
「んー? 何?」
「変なのだったら答えんぞ?」
「いや、ほらね、作中では、二人とも同じように扱って欲しい、
どちらかなんて選ばなくてもいい、見たいな事を言ってたけど――」
「……実際問題、ほんとに二人はそれでいいの?」
「――っ!?」
「あー……」
「……その事か」
「で? ぶっちゃけどうなのよ?」
「……いや、それでいいと思うぞ?
その方が、色々丸く収まるしな」
「そもそも、コウスイにとってはわたしもシェルロッタも、
それぞれが大事なわけなんだろうし、
どっちが、上かなんて決められないと思うよ」
「……ヨカッタデスネェ、コウスイサン」
「やっぱ主人公は桁が違うわね、補正の」
「……げふっ」
「だから、三人で一緒にいられるなら、
わたしはそれでいいと思うよ」
「そうだな、ただ――」
「ただ?」
「決着はつけるべきだと思う!」
「ええぇぇーーーーっ!!?」
「……そこのお二人さん、さっき三人仲良くって言ってたじゃん」
「うん、だからね、コウスイが決める必要はないの。
でもやっぱり、わたしとシェルロッタの中で、
どっちがどれくらいコウスイが好きなのかは、
はっきりさせるべきだと思うの」
「実際の効力はなくとも、力関係は理解しておかねばな。
私にも、シャク・シィにも、プライドというものはある」
「……つまり、意味はなくとも、
自分たちの中でどっちが本妻かは、はっきりさせておきたいと」
「うん!」
「まあ、そんなところだ」
「……」