「……油壺はしこたま用意してありますので、
ご安心くださいな」
「……って
そそぎに来たんですかっ!?」
「ではまず、今回の文章の概要についてお話ししましょうか」
「うい。
この小説は、管理人が試しに
えっちな小説を書いてみようと思い立ち、
特に何も考えずに、始まりました」
「……セルキーが主題であるのは
最初から決まっていたようだ」
「……」
「で、主体は主人公。
相手に仲間のセルキー♀、ということに決まったんだけど……」
「文体をどうするかで迷ったようですわね」
「……と、言うと?」
「一人称の形式にするのかどうか、また、
よく使われる『キアラン』にするのか、
名前を指定せずに『君』でごまかすのかなど、色々考えたようですわ」
「セルキーの娘の名前も、
どうにかしないとだしね」
「FFCC作品はここの管理人しかり、
それぞれのキャラ設定を持っていることが多いですからね
それを考慮したようです」
「……こんな所で、
考慮すべき事柄なのか?」
「考えあぐねていた管理人は、
ふと、あるモノを思い出しました」
「……あるモノ?」
「ドリィーー夢
小ッ説ッ」
「……ッ!」
「名前の問題を、
閲覧者の方に委ねることで
解決しようと考えたのですわ」
「で、それを生かせるような、
文章に仕上げようとしました。」
「主人公や相手のセルキーを、特定させる描写は避け、
脳内補完を促す造りを目指しました 」
「なので、
主人公の種族も決まっていません」
「……ユーク族だと、
色々問題があるようだがな」
「まぁ……
そこは目をつむっていただくしかありませんわね」
「……と、ということは
別に、登場人物が決まってるわけじゃないんだよね?」
「一応そうですが……
結局、変換前の名前は必要なわけでして」
「……で、私とコウスイの名前が使われちゃったんだよね」
(――ピシッ!)
(ごはぁっ!)
「だ、だいじょぶ? コウスイッ!?」
「アダマンタイマイの如く、
口から紅いのが発射されましたわね。
実に美しい放物線でした」
「……さて、そろそろ内容についてお話ししましょうか」
「……す、すいませんッ……
気分が悪いので、ちょっと僕は――」
「……コウスイ」
(ビクッ!)
「大丈夫だよな?
……お前は強い子なんだから……」
「………………は、」
「はい……」
「で、肝心の内容ですが――」
「最近成人したばかりの少年が、
母親の目を盗んで、
知り合ったばかりの女の子とちちくり合うという内容について、
皆様、何かご意見はありますでしょうか?」
(――ピキィッ!)
(げはぁっっ!)
「正直物足りなかった」
(――ブチィッッ!!)
「ぐるはぁっ!!」
「……バケツ持ってきましょうか? コウスイ」
「ハァ……いえ……ハァ……いいです……」
「だってさぁ、
わざわざ森の奥まで行って帰ってくるから、
一回こっきりですぐに終わらせないといけないんだもん。
……もっと色々して欲しかったのにな」
「朝帰りなんてしようものなら、
首が飛びますものね」
「うん、コウスイのね」
「……」
(……だめだ、これ以上ここにいると、
出血多量で死ぬか、
シェルロッタのどっせいで死ぬかしかない……ッ!)
(……二者択一だけでなく、
両方という選択肢もありますわよ)
(いやですっ!
いや、それより、人の心中に語りかけないでください!)
「そういうわけで、
最も重要なシーンは薄くなってしまった気がしますわ」
「最初は森の中だけのつもりが、
なんだかんだで他の描写が増えて、
シェルロッタも登場したり、脱線気味だったもんね」
「本来なら主人公とセルキー娘とで、
ラブラブ、いちゃいちゃしているだけの話だったんですけどね
実用的な」
「……ほー……」
「……」
「そうなっちゃった理由としては……、
ほら、
村のみんな、特にシェルロッタはコウスイが大好きじゃん?」
「ッ!」
「ッ!」
「そのことを考えたら……
そんなに簡単にはいかないだろーなー、って話だよね」
「なにせ彼が生まれてからずっと、いっしょだったわけですものね」
「すっごく大切な子が外に出るようになって、
いっしょにいる時間が減っちゃって。
そのうえ、女の子といっしょに冒険してるって知ったら
気が気じゃないんだろうね」
「それは……その……」
「だけどさー、
こっちにしてみたら納得いかないよねー」
「十何年もいっしょにいて、今でも村に帰ればずっといっしょなのに、
……私は、まだほんのちょっとしかいっしょにいられてないのに」
「……」
「でも、私がシェルロッタの立場だったら……
やっぱり、どんなに長くいっしょでも、もっと、
もっといっしょにいたいと思うんだろうな。
外の人間の私には、これからがあるわけだし」
「……他の村の皆さんも、ずっと一緒にいたかったでしょうね」
「……」
「……」
「……違うよ」
「え……?」
「私も、他の皆も願いは一つだ。
この子に――」
「私たちの子供に、幸せになって欲しい。
ただ、それだけだよ」
「……シェルロッタ」
「……」
「……そうですか」
「だが、まぁ、
お前にコウスイを任せきれないのは事実だがな」
「えぇ〜、
なんでよぉ」
「お前は慎みが足りないんだっ!
その年で、よくエリルやフェルプルと混ざって遊んでいるし、
ところかまわず誰にでも抱きつくし……」
「私、基本的にコウスイやエリル、
大好きな人にしか抱きつかないよ」
「それ以外の人の場合、
ラリアットをかましたことがありますわね」
「シェルロッタもやってみなよ、
なんだかんだで、コウスイ、すっごくよろこぶよ」
「なっ!」
「――ッ!」
「……私は私なりに、コウスイのことが大好きなんだもん。
その伝え方が、色々あってもいいんじゃないのかなぁ」
「……そうか」
「……ああ、それでいいのかもしれないな」
「……」
「お顔が優れてきましたわね、色男さん。
主人公補正の賜物ですかしら」
「い、色男じゃないですよ……」
「……?
主人公補正ってなんですか?」
「それはおいておくとして、
結果としてこの短編は、主人公に対する、
二人の女性の心中について管理人の思うところが
文章に表れたものとなりました」
「つたない文章ですが、
何か感じ取っていただけたら、嬉しいです」
「……普通の文章にして、
表で発表した方がよかったんじゃないのか?」
「この会話を作っている途中で、
管理人も気付いたそうですわ」
「そんなんばっかだよね」
「……で、
今回の結論としましては――」
「……しては?」
「決闘しかありませんわね」
「うむっ!」
「うんっ!」
「えええええええぇぇぇ!!!???」
「好きとか、愛してるとか、
誰かを大切に思う気持ちは、
比べてどっちが上とか決められるものじゃないもん」
「……しかし、そのままでは誰の為にもなりません。
ぐだぐだと、三者共倒れになりかねませんわ」
「ならば、直接対決を持ってはっきりさせる他あるまい。
どちらが――」
「――主導権をにぎるのかっ!」
「表に出さないから、複雑な胸中や、確執などが生まれるのです。
腹を割って、ぶつかり合えば、
きっと、明るい明日が待っていますわ」
「いやいやいやいやいやいやいやいや。
なんで? どうして? 何故そんな結論に!?」
「うむ、では対決方法はどうするか」
「はいはい!
やっぱりここは、スイッチ天国とかの
対戦系クエストでしょ!?」
「だめだ。
その手のやつは、機動力のあるセルキーが
あらかた有利ではないか」
「あらあら、さっきまでの切ない余韻が、
クリスタル・コア並に、何処かへ飛んでしまいましたわね」
「……誰のせいですか……」
「もちろん……あなたですわ」
「ごはぁっ!」
「よし、やはりここはそれらしく、
コウスイを審査員に、料理対決でいこうじゃないか」
「ええ〜
そんなのずるいよ! シェルロッタなら
コウスイの好き嫌いなんて全部知ってるでしょ?」
「ふふふ……
なに、たいしたことはないぞ。
昔から、私の料理を一口食べただけで、
気絶するほど喜んでくれていたがな」
「……」
「……やろっか、料理対決」
「ふ……後悔しても遅いぞ」
「……そんなにすごいんですか?
お母様の料理」
「……昔から、食事はイリーナが作ってくれていました。
シェルロッタの料理は、食べると記憶が飛ぶのでよく覚えてません……」
「……なるほど、つまり五分五分ということですか」
「……」
「……今、なんて言いました?」
「さて、もはやすっかり後書きではなくなってきたので、
この辺りでお開きにしたいと思います」
(……そういえば、これ後書きだったんだ……)
「なお、まだこれはお三方には、
伝えておりませんのですが――」
「……?」
「――今後の予定としては、
主人公×セルキー♀×シェルロッタの
3P的なものを書く気があるそうですわ」
「――ッ!」
「……まあ、どうなるかはわかりませんけどね
この短編に挿絵のようなものを付けたり、
ユーク♂×クラヴァット♀の小説を発表するのが
先になるやもしれませんわ」
「ね、ね、
料理対決ってやっぱり、
食材を集めるところから始めるの?」
「うむ、そうなるだろうな」
「お二人はなかなか盛り上がっておりますが、
一応ここでお開きにします。
皆様、お付き合いいただき、ありがとうございました」
(……ついてこれた人がいるんだろうか……?)