「あ、んん。はふ……ん!」

 塔の最上階……、ミラの部屋で女の声がする。

「――だ! ボ――ペットなんか……ッ!」

 それとはまた別の女の声。

 だが、良く聞いてみるとこの二つの声はどちらも同じ声だった。

「どう? 昔の自分は?」

 さらに別の声……部屋の主であるミラの声だ。

「――ん、んん。……バカだったと思います。ミラ様のペットになるのが、
 こんなにすばらしい事なのに拒絶していて」

 ミラの股に顔をうずめてご奉仕をしていたホクトがそう言った。

その脇には一枚の鏡があり、そこにはラミアのところで躾けられていた、
以前の自分がムチで打たれている。

「嫌だ嫌だ嫌だ!! ……ひぐッ!」

 鏡からムチのしなる音がする。

 その音を聞いてミラは何かを閃いたようで、唇の端を細く吊り上げた。

「あ? ミラ様?」

 ご奉仕をしている最中にミラが急に立ち上がりホクトは驚く。

 驚くホクトをよそ目にタンスからミラは何かを取り出した。

 それを見たホクトは心臓の鼓動が早くなり、自分が高まっていく感覚を思い出す。

「ほしいでしょ? これ」

 ビシィッ!

 床に叩きつけられて高らかに鳴り響く、ムチの音。
 たったそれだけだったがホクトのアソコは濡れ始め、犬のように口元から雫をたらした。

「ああぅッ!!」

 鏡の向こうのムチで打たれる音がする。

「はぁん」

 それと同じタイミングでムチが体に激しく打ち付けられる。

「どう? 昔の自分と同じようにムチを受ける気分は?」

「あぁぁ、最高ですミラ様! もっと、もっとボクにお仕置きを!」

 鏡のホクトとミラの目の前にいるホクト。同じホクトでありながらも、まるで違った……。

 苦痛と恍惚――

 悲鳴と喘ぎ声――

 ビシィ! バシッ!

 ムチの音に踊る二つの体。

「ほら! ほら! この雌犬! これが、気持ちいんでしょ!」

 ミラの容赦の無いムチ。

 しかしムチが振るわれるほどホクトの体は高まりを増していく。

「ふぅ……、ホクト見せなさい」

 ムチを振るうのをやめたミラが命令する。するとホクトは少し恥ずかしげに
メイド服のスカートを持ち上げ、縞模様のパンツを見せる。

 そこには黒い染みが出来ており、そこから粘液の高い滴が股をつたうほど溢れていた。

 それを見たミラが近づき耳元で囁く。

「ふふ……。変態」

 その言葉にホクトはビクッと一瞬体を震わせる。

「ほら、鏡を見てみなさいよ」

 促されて鏡を見る……、すると鏡の向こうのホクトは狭い部屋に移動していた。

「驚いた? 毎晩何をしていたのか知っているのよ」

 ミラは得意げに鼻を鳴らす。

「あ……。んぅ、く……、ふぅん」

 鏡の向こうのホクトは必死に声を殺しながら、自分の着ていた服に顔を伏せて行為に及んでいる。

「ひょっとして塔に来る前も、よくやっていたんじゃないの?」

 ミラがホクトの耳元で囁く。

「ボクは……そんなこと!」

 とっさのことだったので、思わず否定してしまったが、すぐにそれが嘘だとミラに見破られる。

「へぇ、そうなんだ? いつもあの部屋に戻ったらはオナニーばかりで――」

 ミラが縞模様のパンツの中に右手を入れてホクトの秘所を触り始める。

「あ、あぁ!」

「こうやってシッポまで感じるようになっちゃって――」

 さらに左手でシッポをしごき始める。

「自分で開発しちゃったのに、それくらいやりこんでいるのに、……否定するの?」

「あぁぁぁ!!」

 ミラによる二重の攻めでホクトは頭が真っ白に、立っている足はガクガクと震え、
瞳の焦点が定まらなくなり、口からはだらしなく涎をたらした。

 ぐちゅぐちゅぐちゅ。

 いやらしい音がホクトの秘所から漏れる。それとともにパンツの黒い染みが広がっていく。

 激しい攻めでガクガクと体が振るえ、もうイくのも寸前だったとき、ミラの唇の端ががまたしても細く吊り上った。

「命令するまでイクの、禁止」

「!!」

 ミラの小悪魔がささやくような声。対するホクトの顔が絶望に染まる。

 本能は高まりが我慢できない、イキたい!

 だが、ミラの命令であると僅かながらの理性がイくのを制止させる。

 スカートをたくし上げている手に力を入れ、口では息を呑み、目をつぶって我慢しながらも
全身は快楽の高まりに震わし、いつイってもおかしくない状況。

 それでもミラの攻める手は止まらず、さっきよりも激しく動かし始める。

 ホクトの小さな豆を手のひらですりつぶしながら、アソコには2本の指を咥えさせ、
シッポをしごく範囲も一部ではなく全体を撫で回すように。

「あっちのホクトがイったら、イってもいいわよ」

 攻め続けながらミラが告げる。

 ホクトはその言葉を聞く余裕がなく、鼻から喘ぎ声を漏らしひたすらに激しい快楽と戦っていた。

 イキたい! イったら駄目!

 ミラ様の手が!!

 精一杯耐えるホクトを心底楽しそうにミラが攻め立てる。

 そして、そのときは訪れる。

「――ああ、あぁぁぁぁッ!!」

 ホクトの口から思わず漏れる声。

 高まった快楽が限界を超え、全身から外に漏れ出す瞬間。

 ホクトは体をガクガクと震えさせ、激しくイった……。

「イっちゃったんだ」

 ミラは右手に感じるホクトの愛液の感触を楽しみ、倒れそうになるホクトを支えて抱きかかえる。

「ミラさまぁ、もうしわけぇ、ありません」

 ミラの胸のなかで息も絶え絶えになりながらホクトは謝った。

「あら? 何を謝っているのかしら?」

 それにたいしてミラが左手でホクトの頭をやさしく撫でる。

「ほら、鏡を見なさい」

 そう促されてホクトは鏡を見る。

 すると鏡の向こうのホクトは服に顔をつけたまま大きく息をしていた。今の自分と同じように。

「……よく我慢したわね。ご褒美をあげるわ」

 ホクトを床に下ろしてミラは再びタンスのほうへ行き、何かを取り出した。

 そしてホクトの頭にそれをつけた。

「これ……は?」

 呼吸を大分落ち着けたホクトが頭を触りながらミラへ質問する。妙な感覚が頭からする。

「ふふふ……」

 ミラが笑いながら顔を近づけ……。それを一舐め。

「ひゃぅ!」

 思わずホクトから声が漏れる。くすぐったいような感覚が全身を駆け抜ける。

「ほら、見なさい」

 映像を写し終わり、ただの鏡になった鏡をホクトが覗く。

 すると、そこには四つんばいになっている今のホクトが映っていた……。

「み、耳? 犬の耳?」

 頭を触る。鏡のホクトも頭を触る。メイド服のカチューシャの後ろ側から覗くソレを触る。

くすぐったい感触がする。

「これで犬らしくなったわね」

 ミラが嬉しそうにホクトの後ろから顔を覗かせる。そして犬耳を再び一舐め。

「はぅぅ!」

 再びホクトにくすぐったさが走る。

 ミラが舐めるのを続ける――

「あ、あぁ――」

 くすぐったさが、少しずつ快楽に変わってくる。

 なおもミラが犬耳を舐め続ける――

「う……。くふぅ」

 声を我慢しようとするが、鼻から息が漏れる。

 それを聞いてミラが舐め方をチロチロを軽く舐めるのではなく、
ネットリジットリと濃厚に舌と唾液で耳を攻めるように変えた。

「はぁ、んッッ! あぁぁゥ!!」

 頭についているだけなのに、舐められるたびにイヤらしい音が聞こえホクトの頭を直接犯していく。

 もう舐められることで快楽しか得られなくなり、ホクトはどんどんと高まってくる。

「イっちゃえ」

 そして、犬耳に囁いて――

 噛み付いた。

「!!!!!!!!!」

 ホクトに快楽の電流が走った!

 声にならない声。口元を必死で押さえ、見開いた目に涙を浮かべながら、
ホクトは快楽にトドメをさされて、イった。

「感度はよさそうね……。似合っているわよ」

 ビクビクと体を震わせるホクトに嬉しそうに囁く。

 するとホクトは力が抜け、体を床に伏させた。

「あ、はぁぁ――」

 快楽の余韻がホクトの体を襲う。

 メイド服を着込み、犬のシッポに犬の耳。口元には快楽の笑みを浮かべながら
快楽に撃ちしびれて体を震わせている。塔に来たときのホクトからは考えられない格好。

「ふふ……」

 そんなホクトを見て、ミラは心底楽しみ、これからもたっぷり可愛がってあげようと、
ミラは唇の端を細く吊り上げるのだった。








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10/01/23