シェルロッタがシャク・シィを連れて戻ってきたことに、コウスイはかなり驚いた。

 そして、二人の申し出に、コウスイは五、六歩よろけて、頭を壁にしたたか打ち付けるほどに驚いた。

「い、いや! え!? それって、その!?」

「みなまで言うな、私たちだって……恥ずかしいのだぞ」

「そうそう! コウスイはもっと、どっしりと構えててよ」

 ……そんな無茶苦茶な。そう心の中で呟くコウスイを尻目に、二人はちゃくちゃくと用意を進めていく。
ベッドを整え、灯りをささやかな物に代え、そして――衣服をすべて、机の上に重ねた。

「――こら。私たちにこんな格好をさせておいて、自分はそのままとはどういう了見だ?」

 そう言うが早いか、シェルロッタはコウスイをベッドの上に押し倒した。雪のように真っ白な肌に、蝋燭の灯りが妖しくゆらめいて見える。
そんなことをコウスイは考えていたのだが、気がつくと、自分も彼女たちと同じように一糸纏わぬ姿になっていた。

「おー! すごいねー」

「コウスイの着替えを手伝うのは、ずいぶんと久しぶりだったが――腕は落ちてなかったな、うむ」

 ……裸で、胸を張らないで欲しいなぁ。思わず目を逸らしていると、ふいに、腹の上に強い重みを感じた。
視線を向けると、真っ白な黒猫が、自分の顔をにやにやと覗き込んでいる。

「……どうした? もっとよく見てもいいんだぞ」

「いや……その……」

「今更照れなくてもいいじゃん。私のも、シェルロッタのも、初めて見るわけじゃないでしょ?」

 コウスイは、自分の頭が持ち上がるのを感じた。そして、さっきまでのベッドとはまるで違う、絹のように滑らかで、暖かい感触があった。
視線を真上に向けると、瑠璃髪のセルキーの少女、……の、たわわな胸が揺れていた。
慌てて視線を前に戻すが、今度はシェルロッタの胸、お世辞にも揺れるとは思えない大きさだが、
そこにちょんと付いている、ピンクの可愛らしい二つの頂が視界に飛び込んできた。

「それは、そうなんだけど……」

 目のやり場に困っているコウスイの髪を、シャク・シィは楽しそうにいじっている。

「まあ、そんなところも、わたしは好きだけどね」

「うむ、私もだよ」

 理解が追いつかないコウスイの上で、二人の少女が笑顔を交わす。
そしてゆっくりと、シェルロッタは身体を落とし、コウスイの頬を両手で包んだ。

「――っん」

 今日だけで何度目だろうか。シェルロッタはコウスイの唇に、自分の唇を押し当てた。

「んっ……はぁ……むぅ、うあ……」

 たださっきまでの触れるようなキスとは違い、今度は口の中に自分の舌を潜り込ませてきた。
コウスイは少し驚いたが、すぐに同じように舌を絡めた。

「ひゅむ……ふぁ、んっ……ぷはぁ」

 長いこと相手の口内を味わってから、やっと口を離すとシェルロッタは大きく息をついた。
ぷっくりとして瑞々しい唇からは、互いの唾液と、荒々しい息が漏れている。

「コウスイ――」

 シェルロッタ指先で口元を拭うと、愛おしそうにそれを舐めた。
彼女の動きの一つ一つ、しなやかな身体と爛々と光る瞳には、女性として以上に、獣のような美しさがあった。
そう、コウスイは感じていた。それは今まで、自分の見たことのない彼女の姿だった。

「私も、シャク・シィも、お前のことを何より愛している。――そして、何よりもお前に、愛して欲しいと思っている」

 コウスイの視界の端で、瑠璃色の長髪が揺れた。わざわざ見るまでもない。シャク・シィが強くうなづいたからだ。

「……そのことは、すでにお前にも承知の事実だと思う。
けどな、私たちはどちらかだけを愛して欲しいわけでも、そのせいでお前に負い目を感じて欲しいわけでもないんだ」

「そりゃあ――やっぱり、一番に愛して欲しいとは思ったりもするよ。
けど、コウスイの中でどっちが上かなんて、決められるものじゃないんだろうし。
だからって、どっちかと一緒にいる時はもう片方は忘れて欲しいー、なんてのも、どうかと思うし。
……わたしは、シェルロッタのことも大好きだから。コウスイには、シェルロッタも大好きでいて欲しい」

 シャク・シィの言葉に、今度はシェルロッタがうなづいた。

「だから、考えたんだ。片方だけを相手にするから、二人の間で右往左往するから気が咎めるというのなら、
……二人同時に、相手をしてもらえばいい、と」

「……やっぱり、無茶苦茶だよ」

「だよねー、すごい恥ずかしいもん」

「う、うるさい! そんなことは、私が一番わかっている!」

 じゃあ、止めればいいじゃないか。とは、コウスイは言えなかった。

「本当に――それでいいの?」

「……何度も言わせるな。私はお前を愛している。そして、それに答えて欲しい。お前が後悔しないやり方で、だ。
そうじゃなきゃ、お前は納得できないだろう?」

「……うん、そう思う」

「なら、これでいいだろう。――私がお前を愛したように、お前も、私たち二人を愛してくれ。
お前がもう、ちゃんと答えてあげられなかったなどと、悔やむことの無いように」

「……わかったよ」

「――ありがとう」

 礼を言う彼女の顔には、コウスイが見慣れていた、あの穏やかな微笑みが浮かんでいた。だがすぐに、また妖艶な笑みへと入れ替わる。

「だが、まあ……お前のコレは、とっくに用意が出来てるみたいだがな」

 そういうとシェルロッタは、背中越しに自分の尻尾を見やった。紺色の尾が絡みつく先には、コウスイの分身が逞しくそびえていた。

「――っだって、尻尾が何度も当たるから……仕方ないんだよ」

 顔を赤らめながらコウスイは視線をずらした。シェルロッタは立ち上がると数歩後ろに下がり、コウスイの太ももの近くにしゃがみこんだ。

「――こんなに、なるのか」

 大きくそびえるモノを前に、流石にシェルロッタは息を呑んだ。
つんつんと突付いてみると、それはさらに脈打ち、持ち主の口から吐息が漏れる。
まるで別種の生き物のようなそれを、シェルロッタは興味津々で眺めていた。
だが意を決すると、おそるおそるその先端へと、可愛らしい口を近づけていった。かぷっ、と亀頭全体を咥えこむ。

「――っ!」

 びくんとモノが震え、口の中で亀頭がさらに膨張する。シェルロッタは一瞬驚いたが、そのままさらに舌でモノを転がし始めた。

「はむ……むちゅ、んあ……む…くぅむ……」

 嗅ぎ慣れないオスの匂いが、シェルロッタの鼻腔をくすぐる。その匂いに酔ったかのように、シェルロッタはモノを頬張る。
拙い動きではあったが、コウスイの背中にはぞくぞくと快感が押し寄せてきた。

「――っ、シェルロッタ――」

 敏感な部分に、絶え間なく刺激が送り込まれる。
歯を食い縛って絶えているのをちらりと確認すると、シェルロッタはコウスイのモノから口を離した。

「――っ?」

「シャク・シィ」

 シェルロッタが名を呼ぶと、コウスイの頭ががくんと沈んだ。
さっきまで彼の頭を抱いていた少女が、彼の下半身の方へと移動したからだ。

「えへへ。じゃあ、わたしもいくね」

「――なっ!?」

 言うが早いかシャク・シィは、サオの部分へと舌を這わせた。次いで、シェルロッタもまた先端を咥える。

「うちゅ……ぺろ、む……あは、まだ大きくなるね」

「ん、んむ……ふぁ…ああ、こんなに固くて、それに…熱い……あぅ」

 二人の少女はうっとりと、目の前の肉棒にしゃぶりつく。
シャク・シィは慣れたようにコウスイの弱い部分を舐めて責める。シェルロッタの動きは少しづつ大胆になり、薄い皮膚を甘噛みし始めた。
二人の唾液が肉棒に絡み合い、ぴちゃぴちゃと淫靡な音を立てている。

「はむっ……ちゅぱ……ろ、ろうだ? きもひぃいいか?」

 上目遣いに問いかけるシェルロッタに、コウスイは答えるのがやっとだった。

「う、うん……すごい……いい、よ――っ」

 急速に性感が高まり、思わず腰が浮かしてしまう。ものの数分で、すでにコウスイは堪えきれなくなっていた。

「んっ、くちゅ……そろそろ……はむっ……限界かな? んっ、シェルロッタ、思いっきり吸い付いてみて……」

「んぁっ……こ、こうか? んちゅぅ……じゅるぅぅっ」

「くぅ――っ!」

 シェルロッタの口に強く吸い上げられ、肉棒がぶるぶると悲鳴を上げた。快感が爆発し、一気に駆け上る。

「あぁっ!」

「きゃあっ!」

 痙攣するモノから、白濁した粘液が二人に向かって放たれる。どくどくと放出された精液が、少女たちの上気した顔に飛び散る。

「あぁ……すごい、これが……ぺろ……お前の……」

「えへへ……あむ、いっぱい出たね……いつもより、多くない?」

 恍惚とした表情で、顔にかかった精液を舐め取っていく。
そんな二人の姿を見ているだけで、射精したばかりのそれは、再びむくむくと起き上がってきた。

「……ふふ、まだまだ足りないのか」

「……ごめん」

「謝ることはないだろ? 元気なのはいいことだぞ」

 そういってシェルロッタは、嬉しそうにモノにキスをした。
それだけで、また体中にしびれるような快感が走る。そんなコウスイの姿を、楽しそうに彼女は眺める。

「シェルロッタ。そろそろ――」

「ああ、そうだな」

 シャク・シィに促され、シェルロッタは身体を起こした。コウスイをまたぐように膝で立つと、ほとんど無毛の割れ目が、彼の目の前に晒される。
秘裂からはすでに、太もも全体を濡らすほどに雫が零れていた。

「……もうすっかり、とろとろだね」

「――っ! 言うな……馬鹿者……」

 そう言いながらも、シェルロッタの顔は目の前のモノから逸らせずにいた。
これから起きるであろう出来事への期待が、瞳の奥に見え隠れしている。

「じゃあ、二人とも。準備はいい?」 

 シャク・シィはシェルロッタの後ろから手を回すと、コウスイの陰茎を支えた。
その上に、シェルロッタは自分の陰唇に先端をあてがった。そして、消え入りそうな声で、相手の名前を呼んだ。

「――コウスイ」

 相手はうなづくと、震える少女の両足に手をかけた。

「……あまり、無理しないでね」

「だから――そういうことは言うな……お前は、私に万事任せておけばいい」

 自由にシェルロッタが動ける方が、負担も少ないんじゃないのかな。そうシャク・シィが提案したため、こうした形になっていた。

 シェルロッタは微笑むと、少しづつ腰を下ろした。亀頭が膣口を押し開き、ゆっくりと進入していく。

「くぅ……あぐぅ」

 膣内はかなり狭く、シェルロッタは苦痛に顔を歪めた。
だがすでにたっぷりと愛液が満たされ、モノの方も唾液や精液を纏っていたためか、順調に挿入されていった。
しかし、ふいにその動きが止まった。コウスイは先端に、道をふさぐ何かがあるのを感じた。

「――シェルロッタ」

「……すまん、その……ちょ、ちょっと待ってくれ」

 そう訴えるシェルロッタの目じりには、大粒の涙が浮かんでいる。何度か深呼吸をして、大きく喉を鳴らした。

「――いくぞ」

 意を決したのか、シェルロッタは一気に腰を落とした。膨張した肉棒が、膣奥深くへと潜り込む。

「――っ!!」

 シェルロッタは声にならない悲鳴を上げ、大きく仰け反った。押し広げられた結合部からは、破瓜の血がモノへと伝ってゆく。
肉棒が痛いほど締め付けられ、コウスイは今にも達してしまいそうだった。

「くっ……はぁ……」

 息も絶え絶えな彼女を労わるように、シャク・シィが後ろから抱きしめる。

「――コウスイ」

 どれくらいの時が経ったのか、落ち着いたシェルロッタが口を開いた。

「そろそろ……動くからな」

 コウスイは何かを言いかけたが、結局何も言わなかった。
中途半端なことを言ったところで、彼女には意味がないことを、コウスイは長い付き合いでよく知っていたからだ。

「……わかった」

 ゆっくりと、モノが彼女の膣から引き出されていく。そして再び、最奥へと飲み込まれる。
膣壁の摩擦が強い刺激を生み、脊髄へと走っていく。

「あっ……はぅっ!」

 まだ痛みが大きいのだろう、シェルロッタの尻尾はぴんと張りつめている。
だが少しづつ、彼女の声にも甘い蜜が溶け出していた。秘所からはさらに雫が溢れ、それに伴い挿入の勢いが高まっていく。

――ぐちゅっ――くちゃっ――ぬちゅっ――

 卑猥な水音が響き、しぶきが互いの腰に飛び散る。

「はぅ、んあ! ふにゅっ、にあっ! く、っあ、あぁっ!」

 食い縛っていた歯がだらしなく緩み、悲鳴は甘い嬌声へと代わっていく。
シェルロッタは一心不乱に杭に向かって腰を打ち付けていた。先端が膣奥を叩くたびに、尻尾が踊り、さらに強くモノを締め付ける。

「あ、はぁ、んにゃ! ぁあ、コ、にあ! コウスイっ! ぁああん」

「くぅっ、あっ、シェル、ロッタっ」

 一人は、相手を異性として認識していたことはなかった。一人は、相手を異性と認識しないようにしていた。
だが、その相手を今、自分が犯している。そんな倒錯的な思いが二人の胸をよぎる。

「んあ、コウスイっ、コウスイっ! あぁ!」

 少女の目には涙が浮かんでいる。だがそれは、けっして苦痛だけによるものではない。
ただただ、シェルロッタは嬉しかった。こうして思いを告げられたこと、ひとつになれたこと、自分の身体で喜んでくれていること。
なによりも愛した人に、愛してもらえていることが、シェルロッタには嬉しかった。
もっとこの子を感じたい、もっとこの子に感じて欲しい。それだけを考えながら、遮二無二腰を動かす。
今まで見たことのない、淫らな彼女の肢体。それがコウスイには美しく、そして愛しく思え、自分の欲望が高まっていくのを感じた。

「――っ、シェルロッタ、ごめん、もう、くっ!」

「はぁ、いいぞ、そのまま……んっ、射精してくれ! 私も、一緒に――」

 シェルロッタはぎりぎりまでモノを引き抜くと、一気に腰を下ろした。
されるがままだったコウスイも、たまらず腰を突き出し、少女の膣を貫いた。

「――ふにゃあぁぁぁぁっ!!」

「――くぅぅぅっ!!」

 シェルロッタが達すると同時に、コウスイのモノが爆発する。がくがくと震える彼女の膣内に、白濁した溶岩が注ぎ込まれる。

「ぁ、ふにゅ、にぁ……ぁ……あぁ……」

 余韻に身体を震わせながら、シェルロッタは前のめりに倒れる。その拍子に、固さを失った肉棒が引き抜かれる。
自分の胸の上で荒く呼吸する少女を、コウスイは優しく抱きしめた。

「シェルロッタ……大丈夫?」

「んあ……あ、ああ、問題、ない。それより――」

 シェルロッタはおずおずと問いかけた。

「その……どうだった?」

「? どうだった、って?」

「だから! その……」

 今ひとつ、会話の成り立っていない二人の間に、セルキーの少女が割って入った。

「ちゃんと気持ちよかったか、ってことだよ」

「シャ、シャク・シィ!」

「ああ、そっか」

 コウスイは苦笑すると、まず、シェルロッタに軽く口付けをした。

「あ……」

「よかったよ。すごく気持ちよかった」

「……そうか」

「シェルロッタは? どうだった?」

「そ、そんなこと! ……わざわざ聞かなくても察してくれ」

「……」

 相変わらずだなぁ。と、コウスイは口には出さなかった。
シェルロッタは胸の上で軽くじゃれついていたが、ふいに後ろを見やると、身体を起こした。

「――さてと、そろそろ、次だな」

 そういいながらシェルロッタは、首をもたげたコウスイのモノを、むんずと掴んだ。

「!? ちょ、ちょっと待ってよ! 二回も射精したばっかで――」

「何を言っている。シャク・シィが物欲しそうに見ているじゃないか。ちゃんと彼女も相手をしてやれ」

 そう言いながらシェルロッタがしごく肉棒に、シャク・シィが舌を這わせた。

「――っ!」

「えへへ、ごめんね……二人のを見てたら、わたしも……もう」

 二人の情欲に塗れたそれを、シャク・シィは綺麗に舐め取っていく。片方の手で、自分の秘所を慰めながら。
その淫靡な様に、コウスイは唾を飲み込んだ。

「あは、もう復活してきたね」

 シャク・シィが愛しそうに見つめる中で、コウスイのモノは再び硬度を増していた。

「昔から体力は付けさせておいたからな。まだまだ持つさ」

「よし、じゃあ――コウスイ、ちょっと退いて」

 ちょいちょい、と手を振って促すので、コウスイは身体を起こし、ベッドの端に腰を下ろした。
どうするのかと見ていると、シャク・シィは突然、シェルロッタを押し倒した。

「!? シャ、シャク・シィ!?」

 意表を疲れた彼女の上で、シャク・シィは不敵に微笑んだ。
二、三度シェルロッタの唇を奪うと、自分の身体を反転させ、シェルロッタの口に、自分の陰唇を押し当てた。
そうして自分は、精液が溢れる彼女の下の口へと舌を這わせた。

「くちゅ……ぺろっ……ん、ほら、シェルロッタもお願い」

「ん……そんな……あぁ!」

 シェルロッタもさほど抵抗せずに、シャク・シィの秘所を舐め始めた。互いの上気した顔に、互いの雫が塗れていく。
その二人の痴態を眼にしたためか、コウスイの陰茎はまた隆々と勃起していた。
それを横目で確認すると、シャク・シィは腰を振って、切なげに彼の名を呼んだ。

「――コウスイ……お願い」

 うなづくとコウスイはシャク・シィの背後へと回る。
大きく弾力のある尻の下には、さっきまで自分の胸の中で微笑んでいた少女の、淫らな顔が見える。

「ん……何をしている。早く挿入れてやらぬか」

 そういってシェルロッタは、濡れ窄まったシャク・シィの膣口を広げて見せた。
シェルロッタの眼前であることに一瞬躊躇したが、コウスイは目の前の桃尻を掴むと、先端をあてがい自分の分身を押し込んだ。

「ふぁぁぁぁぁんっ!」

 シャク・シィの口から嬌声が響き、大きな乳房が揺れる。
シェルロッタの時は痛いぐらいの締め付けだったが、シャク・シィの膣は柔らかく、それでいて隙間なくモノを包み込んでいく。
その感触が心地よく、さらに味わおうと腰を前後させる。

「ふぁ、あぁ、んっ、うぁっ、んん、ひゃん!」

 それに合わせてシャク・シィも、自分の身体を前後に揺らす。

「……すごいな」

 自分の上で繰り広げられる逢瀬に、シェルロッタは少しあっけに取られていた。
目の前で挿入されているモノを見ていると、さっきまで自分の膣内にあった感触が、下腹部から込上げてくるようだった。
居ても立ってもいられず、シェルロッタは眼前の結合部に舌を伸ばした。

「ん、あぁ、シェ、シェルロッタ!?」

 自分の顔が二人の愛液に塗れるのもいとわず、シェルロッタは結合部に顔を寄せた。
肉棒に舌を絡めたり、舌先で充血した陰核をつついてみる。

「ん……ぺちゃ……ふぁ……どうだ、シャク・シィ?」

「あん! ん、いいよ、すごい、ひぁ! 気持ちいい、んん」

 目の前の二人の様子を見て、コウスイはまるでシャク・シィの膣内だけでなく、シェルロッタの口内をも犯しているような錯覚を覚えていた。
挿入のリズムが早まり、さらにモノが膨張する。

「ふぁ、あん、んぅ、ぁあっ、ん、んんっ、ひゃん」

 二人に秘所を責められ、シャク・シィは快楽に悶える。
負けじとさっきと同じように、シャク・シィもシェルロッタの秘裂を愛撫しようとした。だが身体が大きく揺れてしまい、上手くできない。

 せっかく三人で楽しもうと思ってたのに。そんなことを考えていると、ふと、シャク・シィの目に何かが飛び込んできた。
シャク・シィは惚けた顔に笑みを浮かべると、それを掴んだ。

「――にゃぁっ!?」

 その瞬間、シャク・シィの下にいたシェルロッタが悲鳴を上げ、仰け反った。
何事かとコウスイが見やると、シャク・シィはシェルロッタの尻尾にしゃぶりついていた。

「ふーん、やっぱり、ここが弱点なんだね、ん」

 お尻から伸びる紺色の紐を、シャク・シィは猫がじゃれるように弄ぶ。慌ててシェルロッタが声を上げる。

「こ、こらシャク・シィ! そこは――うにゃぁっ!」

「ん、はふぅ、でも……あ、こうすれば、シェルロッタも、気持ちいい、でしょ?」

「だ、駄目だ、あう、そこは――ふにゅ! 頼む――んあぁ!」

 シェルロッタの懇願も意に介さず、シャク・シィはのた打ち回る尻尾をしっかりと掴み、さっきコウスイのモノにしたように優しく舌を絡め、しごく。
シェルロッタは涙目になりながら身体を震わせ、その様子に、さらにコウスイの情欲が膨れ上がっていく。

「あん、はぁ、うぅん、ん、あぁっ! ん、ひゃん、ふぁっ!」

 高まった欲望がシャク・シィの膣内へと打ち付けられ、シャク・シィはせき立てられるようにシェルロッタの尻尾を責める。

「ふにゃ! んんっ、ひゃぁ! はにゃぁっ!」

 そしてシェルロッタが快感に悶え、そのしぐさとモノへの愛撫が、コウスイをかきたてる。
触れ合う肉体が、流れる液体が、むせ返る様な匂いが、熱い吐息と声が、溶け合っていく。
まるで最初からひとつの存在であったかのように、三人は自分たちが入り混じってわからなくなっていた。

「――シャ、シャク・シィ……ひゃん!」

 まず最初に、シェルロッタが音を上げた。

「も、もう……あぁ! むり、らめ、だ、ふにゃぁっ」

 シェルロッタの顔は、シャク・シィの飛沫や自身の涙と涎でぐしゃぐしゃになっていた。目は虚ろになり、ろれつもまわっていない。

「ん、あは、シェルロッタ、んう、もう、イっちゃいそう、だね、あん」

 その様子を楽しそうに眺めながら、シャク・シィは腰をくねらせる。

「ん、わたしも……ひゃん! そろそろ、イきそう、かな」

 そして妖艶な笑みを彼に向け、懇願する。

「おね、ん、お願い、コウスイ……一番奥に、ふぁ、それに、一緒に、ぁっ、一緒に――」

「……うん、わかった」

 コウスイは深く息を吸い込むと、絶頂へと向けて腰の動きを早める。

「ああっ、ひうっ、んっ、あんっ、あぁっ!」

 ぱんぱんと肉と肉のぶつかり合う音が響き、それに合わせて、セルキーの少女が喘ぐ。その勢いに、尻尾を掴む手にも力が入る。

「ふにゃっ、ああっ、くぅっ、にぁぁっ!」

 その責めに、たまらずもう一人の少女も悶え、喘ぐ。

「――っ!」

 欲望が駆け上がるのを感じ、コウスイは肉棒を最奥へとねじ込んだ。
その瞬間、シャク・シィの膣がモノをきゅうきゅうと締め上げ、コウスイは頭が真っ白になった。

「――ふぁぁぁぁっ!!」

「――にゃぁぁぁっ!!」

 二人の少女は背筋を張り、身体を震わせ、同時に絶頂に達した。

「ん……はぁ……あん……」

 一人は身体の中に、どくどくと熱い欲望を注がれながら。

「くぅ……にゃ…はぁ……ん」

 一人は身体の一部を、ぴくぴくと痙攣させながら。

「ちょっと……やりすぎたかな……」

「……これの……どこがちょっとだ」

 シャク・シィとシェルロッタは互いに、余韻の残った身体を抱きしめあった。

 そしてそのまま、互いのぬくもりを感じているうちに、気だるい身体を忘れ去っていった。



「――あれ?」

 少女は二、三度瞬きをすると、目をこすりながら重い身体を起こした。

「……もしかして、寝ちゃってた?」

「みたいだな」

 自問に対し答えがあったので、シャク・シィはすぐ横を見やった。肌理細やかな丘の上で、紺色の紐が緩やかに揺れている。

「おー、復活早いねー」

「……動かなくなったら、どうしてくれようかと思ったぞ」

 ごめんごめん。そう言いながらシャク・シィも、シェルロッタと同じようにうつぶせになる。
二人の間には、仰向けになって寝息を立てる、クラヴァットの少年の姿があった。

「――で、どうなったの?」

 シャク・シィの問いに、シェルロッタは首を横に振った。

「わからん。お前と一緒に……その……ごにょごにょした後、二人とも気を失ったようだ」

「そっかぁ。じゃあ、後始末をしたのは?」

 シャク・シィは自分の顔や、身体をまさぐる。ついさっきまで様々な体液でどろどろになっていたはずなのに、それらの痕跡がまるでなかった。
よく見れば、身体には申し訳程度にシーツが掛かっている。

「おそらく――コウスイだろう。そこの椅子の上に、汚れた濡れタオルと洗面器が置いてあるだろ」

「なるほど。……きっと慌てたろーなー、わたしもシェルロッタも、眠っちゃったから」

「だろうな。――まあ、これで私たちが起きるまで、ちゃんと待っていてくれれば文句はなかったのだがな」

 まだまだ甘いな。そういってコウスイの頭をこづくと、シェルロッタはシャク・シィと顔を見合わせて、互いに笑った。

 月明かりが窓から差し込む中、二人は長いこと、コウスイの寝顔を覗き込んでいた。

「――シャク・シィ」

「ん?」

 コウスイの髪をいじっていると、ふいにシェルロッタが声をかけた。

「……ありがとう」

「……」

「おかげで、思いを遂げられた。……これで正しかったのかはわからない。けど、今はすごく穏やかな気持ちでいられる。
……それは確かなことだ」

 まあ、こんなありさまになるとは予想外だったがな。そういって照れるシェルロッタに、シャク・シィは首を振って見せた。

「ありがとうなんて……お礼を言われる筋合いは、ないよ。わたしはただ――」

「ああ、わかっているよ。……これでこの子もきっと、これ以上思いつめたりしないだろう」

 だからね、シャク・シィ――
呟きながらシェルロッタは、シャク・シィの頬に片手をあてた。

「――お前も、胸を張ってコウスイと共に生きてくれ。この先、何があったとしても」

「シェルロッタ――」

 穏やかに微笑む少女に対し、セルキーの少女はだんだんと顔を歪めていく。

「おいおい、そんな顔をするな。美人が台無しだぞ」

「――やっぱり」

「……ん?」

「やっぱり――シェルロッタも、もう、ダメなの?」

「……」

 シェルロッタは目を閉じ、ゆっくりとうなずいた。

「――おそらく、な。皆と同じように、私の役目も……終わりはそう遠くない」

「……」

 シェルロッタの手の甲に、何かが流れた。それに気づくと、彼女は苦笑しながらシャク・シィの目を拭ってやった。

「だからほら、泣くな。……コウスイが起きてしまうぞ」

「けど……けどっ――」

 嗚咽をこらえる少女の頭を、シェルロッタは優しく撫でる。

「お前のおかげで、心残りが無くなったというのに、そんな様子じゃ、私もコウスイも心配してしまうじゃないか」

「――っ」

「だから、笑っていてくれ。そうすれば、私も笑っていられる。……安心して、この子を任せられる」

「シェルロッタ――」

 そういえば、あの日。クリスタル・コアが砕けた夜にも、同じようなことを言ったっけかな。けど、あの時よりも遥かに、心が軽い。

「私はね、シャク・シィ。とても幸せなんだ。コウスイに出会えて、そして、お前にも出会えた。
この二千年間の空虚が、お前たちのおかげですっかり埋まったのだから」

 なにもかもさらけ出したから、かな。そう思うと、シェルロッタの口元には自然と笑みが浮かんでいた。
ぽろぽろと涙をこぼしながら、シャク・シィも笑顔を浮かべた。

「わたしも――わたしもだよ、コウスイに遭えて、シェルロッタに遭えて。すごく、すごく嬉しいんだ」

 二人はもう一度、笑顔を交わした。そして、どちらからともなく横たわると、瞳を閉じた。

 二つの小さな寝息が聞こえるようになるまで、そう時間は掛からなかった。




 宵闇の中で、何かが蠢いた。

 それは月明かりの中、上半身を起こした。自分の胸の上で組まれた、二人の少女の手を崩さぬように。

 生まれたままの姿で静かに眠る二人。その薄桃色と瑠璃色の髪を、そっと撫でる。

「僕も、幸せだよ。――こんなにも、思ってくれる人たちがいるんだもの」

 きっと、この先ずっと、その思いにちゃんと報いることはできないのかもしれない。けど、それを諦めることだけは、もう二度としない。

「――ありがとう」

 手の甲で顔を拭ってから、二人の身体にシーツを掛ける。そうしてまた、影は元の位置へと戻った。

 今はただ、このまま眠ろう。ここまでの過去も、この先の未来も忘れて、ただ、ただ、この幸せな温もりの中で。

 シェルロッタとシャク・シィの体温を感じながら、コウスイはそっと目を閉じた。

 







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<あとがき?>



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09/12/25