
「おいおいコウスイ、
そんなん聞いてても、センじゃ無理だろ」

「――なっ!」

「キャラを考えろよ、キャラを。
女の子への気の利いたプレゼントが、
ぽろっと思いつくような男か? このセン=シュウキが」

「ぐっ……、それは」

「あー、えー、それはー……」

「ま、まて!
確かに、シラ・ハの言うことにも一理あるが、
シェルロッタの欲しいモノなら、自分にも
心当たりがある」

「え!?」

「ほー、
そりゃ、なんだ?」

「……この前、自分が鍛錬中、近くに彼女たちがいてな。
その時、小耳にはさんだのだが――」
* 数日前 *

「……いやー、
いい天気だねー」

「……そうですねー」

「……うむ」

「こうも、ぽかぽかいいお天気だと、
もうずーーーと、寝転がっていたいよねー」

「あ、思います、思いますー。
草の上で、ごろごろ〜、ごろごろ〜、
って一日中転がっていたくなりますー」

「……それもいいが、私としては」

「?」

「?」

「こう、新品の
布団が欲しいな。
ふかふかのそれを地面に敷いて、
その上に、飛び込んでみたくはないか?

「ふわぁ……、
いいですいいです、カノコもお布団欲しいです!」

「いいよねー、
ふかふかで、ぽかぽかー」

「ぽかぽかで、ふかふかですー」

「……ふふ」

「あ! そうだ!
ねえねえシェルロッタ」

「ん?
なんだ?」

「このあいだの続き、
今話してよ」

「? このあいだの、ってなんですか?」

「……ああ、あれか。
コウスイがいくつまで、
おねしょが治らなかったか、という話か」

「うん、それそれ!」

「ふむ、どこまで話したか……ああ、あれだ。
ちょうどあの日は、私が家を留守にするのでな、
代わりにイリーナに……」
*
「わー!わー!わー!わー!」

「……で?
イリーナお姉さんがどうしたのよ?」

「……さすがに、
これ以上盗み聞きするわけにはいかないのでな。
場所を変えたので、後は聞いていない」

「はぁ……はぁ……良かった……」

「いや、よかないだろ。
シャク・シィやカノには全部聞かれてるぞ、たぶん」

「ああっ!?」

「ま、それはおいといて。
おい、セン」

「……なんだ?」

「てめぇ、手持ちのらーけいくすくんと、
ねお・らーけいくすくん。
全部没収だ、没収ーーとっ!」

「何の話だ、なんの!?」

「布団って何だよ、布団って!?
本人が欲しがってたって、それはその時だけだろうが!?」

「ぐっ……、いや、
だが事実は事実なわけであって……」

「あ、ほら、最近、うちのお布団も古くなってきたし、
買ってあげたらきっと喜ぶんじゃないかな……」

「じゃあ、なにかコウスイ?
プレゼントは布団で決まりなのか?」

「うっ……それは……」

「……」

「……」

「ま、マタタビよりはいいかと……」
「馬鹿野郎っ!
それでも主人公かっ!?」

「えええええっっっ!?」
「にゃんこにマタタビってのはなぁ、
にゃんこにマタタビってのはなぁ!
男のロマンなんだよぉっ!!」

「……知りません……」

「……お前は、
本当に救いようがないな」